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(過去記事をお試し投稿)
持っていないものへの物欲を書き留めています。
欲しいものを欲しいまま、憧れを憧れのまま。いつかいつかと言い続ける文章です。
(商品レビューではありません。)
カイ・ボイスン の
『 Monkey 』
ほっ。
ひとつひとつのパーツは単純な形なのに、この素朴な表情と絶妙なおサル感。街でネットで、お見かけして以来忘れられないんです。欲しい。欲しすぎる。
私の中でこのおサルのポイントは、上あごパーツと下あごパーツのわずかなズレ。このズレのおかげで、素直な優しい表情と絶妙なサルみが醸されていると思うのです。よく見て。優しさのもとだよ。
とにかく愛でできている
モンキーをデザインしたカイ・ボイスンは、コペンハーゲン出身。20世紀デンマークを代表するデザイナーです。彼ははじめは銀細工師でした。長男の誕生をきっかけに子ども向けデザインにも興味を持つようになり、おもちゃも作るようになりました。愛を感じます。
そしてカイ・ボイスンは、
「木製の動物は本物の動物の真似であってはならない」
と考えていました。(!)
モンキーの他にもいろいろな木製動物のオブジェが出ていますが、たしかにリアルな動物というよりは、人が想像する「その動物っぽさ」を端的かつ忠実に表した感じがします。す、すごい。
カイ・ボイスンの木製動物たちはどれも雰囲気が優しい。おもちゃに対して「雰囲気」って言葉を使うことってなかなかないと思うんですが、彼のつくった動物たちを見ると、独特の空気をまとっているように感じます。
穏やかで、人がうっかり心を開いて受け入れてしまう空気、というか。逆に、人を受け入れてくれそうな空気、というか。そういう「雰囲気をもったおもちゃ」。
いかにも害がなさそうな、安心していい感じが伝わるから、小さい子が見つけたら迷いなく手に取りそう。
新宿をひとりで歩く人がこの雰囲気だったら心配になっちゃう、ってくらいの朗らかさです。
構造がわかりやすい見た目だから安心できるのかな。リアルな動物を目指したら、きっとこんなにほっとする空気にはならない気がします。
同時に、シンプルな構造とこの親しみやすさを両立させるのって、相当難しいことだろうなあ、とも思うんです。それができているから名作なのであり、世界中で愛されているんだろうなあ。
特に、ほどよい曲線と丸み。
木の堅さを感じさせないのがすごい。なんか柔らかそうだもん。見れば素材は木だってすぐわかるのに、前世が角材だったとは思えない。
いかにも堅そうな見た目だったらきっと ”物質感” が強くて、ここまで親しみのある雰囲気にはならなかったと思います。
樹木の優しいところだけでできています、森の優しさで成形しました、といった印象。
調べてみると、いかにも優しいこれらフォルムにはカイ・ボイスンのこだわりが詰まっているそうです。
「丸みがあり、柔らかくそして手に持った時の心地よさを大切に」
「動物のデザインの中の線(Line)は微笑み(Smile)になければならない」
ああ、納得。
作られたものを見れば納得できちゃう、っていうそのことがもうすごい。
こういった彼の信条を受け継いで、モンキーは今も丁寧な手作業で作られています。
シンプルな見た目ではあるけど、実際にこのカーブを作るのって職人技でしかない。すごい。
この肌のすべすべ感もたまりません…!
木ですべすべって、すごく好き。無意識に手がいって触りたくなっちゃう。
職人の愛がこの優しい動物たちを作っていて、だから体温がありそうな感じなんですね。愛はつづくよどこまでも。作り手の愛が偉大。これぞ賜物。
モンキーは、カイ・ボイスンが1951年に発表したもの。
もともとの製作依頼は「子供用のフックをつくってくれ」というものだったそう。
高いところに手が届かない子供でも、コートや帽子をかけられるようにとデザインされたのが、このモンキーです。だから手足がこの形。
そりゃあ、空気が優しいわけだ。
「子ども用のフックつくって」でこうなりますか?すごすぎる。
もうね、発想が好き。好きすぎる。頭が柔らかいし、ユーモアにも溢れている。
私が初めてモンキーを見たときの第一印象、なんか腕長めだな、だったんですが、愛でした。愛のかたまり。ほっかほか。
※ なお、現在販売されているものはそこまでの強度はなく、おもちゃやオブジェとして愛されています。
愛で方いろいろ
手足は当時と変わらずフックの形をしているので、あらゆるところに引っかけて愛でることができます。
いたずらを仕掛けるみたいに気分でいろいろなところに引っかけたい!という願望が止まらない。そしてふと目が合いたい。
鏡で身だしなみを整えるとき、キッチンで洗い物が終わって手を拭くとき、不意打ちで目が合いたい。瞬時にからだの力が抜けて「今日は早寝しよう。」って気分になると思う。
愛のかたまりがおちゃめにぶら下がっている日常…!部屋がリラックス空間になってほっこり。
さらに、手首や肩などの全9ヵ所が360°動かせるらしいんです。キシキシとしか動かせなさそうな見た目なのに、けっこう豪快な動きをなさるんですね。
だから引っかける以外にも、たとえば机に置いて、足や手でおサルにスマホを支えていただいて、スマホスタンドみたいにもできるようです。か、かわいい!やりたい!
現代にもしっかりなじむ!時空を超えるデザインを目の当たりにしている!
個体ごとに重さや大きさに誤差があるのも、個人的にはとてもツボです!
買うときは、できるならネットではなく実物を見て自分で選びたいなあ、と思っています。
素材が自然のものだから、木目や色に微妙な違いがあって個体ごとに印象が違うと思うんです。なんとなくこのおサルがいい!って思って買いたいし、飾りたい気がしています。
買うところからもう楽しめるなんて。わくわく。
でもきっとネットで買ったとしても、このおサルが私の運命のおサル!って思えるんだろうな。
自然によって個体差がでるのって、健全な状態って気がします。機械で大量生産されたものが売り買いされることに慣れてしまっているけど、機械生産よりも厳密じゃないぶん自然や手作りを感じやすくて、「健やかな営み」って感覚になる。
そして自然のおかげで、わが子感が増します。うちの子!ってなります。
風合いの変化を楽しむことを「育てる」なんて言ったりしますが、うちの子だと思うと育てがいがありそうです。
オイルが剥げてモンキーの肌がカサカサしているようだったら、オイルを塗ってメンテナンスすれば長持ちするそうです。(お世話を!させていただける!)
チーク材は経年変化がきれいな木材らしいので、長く愛でることができそうです。お手入れするごとに愛着が湧いてもう最高です。
おサル友達を作って数年後におサルを見せ合ったら、経年変化とお手入れの仕方で個性が色濃く出そう。違いを許容できるおサル社会。Love & Peace。
優しい世界
子どものおもちゃとしてプレゼントするのにも、ぴったりだと思います。
関節がしっかり動かせるし、つくりが丁寧だから丈夫。なによりモンキーの表面の仕上げに使われているオイルは、ヨーロッパの安全基準をクリアした害のないオイルで、子どもが口にしても大丈夫な素材。
この点とても、社会福祉や子育てに重きを置く北欧らしい優しさを感じます。
パーツもしっかり動かせるし、パーツがとれちゃっても修理できるところがよりうれしい。
子どもじゃなくても欲しい。欲しいし、あげたい。
クオリティが高くて、贈り物にもしたくなるおサルです。すごいなあ。
私の周りも親になる人が増えているので、こういった優しさの詰まったものをあげられるような人に、私はなりたい。
おもちゃとしてもオブジェとしても、心ゆくまで愛でることができます。
モンキーを作っているカイ・ボイスン デンマークは、さまざまな木製プロダクトにFSC認証の天然木をつかっていて、環境にも配慮しているんです。
私にも!子どもにも!地球にも!優しい!優しさが大洪水!
長持ちでエコだし、本当に北欧らしいプロダクトだなあって思います。
知れば知るほど優しい世界でした。
おサルの表情から、フォルムから、作られたきっかけから、材質から、すべてにおいて愛を感じました。
やっぱりなんだか信頼できるおサルだなあ。欲しい。欲しすぎる。
Monkey
モンキー
(オブジェ・玩具)
設計者
Kay Bojesen
カイ・ボイスン