めだか鉢

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玻璃質な
さかなのじかんに
すこしの揺れがあって
ずれてしまった

水と
婉曲が
少しずつ透明な
水平をくずして

なにも考えなくても
じかんにあわせて
向きを変えるさかなたち
そのほのかな遊泳

音のしない
波のヒビを
好き好きに
ちらばる ちらばる

手をかけて 生きたい/死にたい
同じことと知りながら
どちらも叶わない日々の
食卓にタイトルをつける

測れば
幸福
地震じゃなかった
星だった

『 めだか鉢 』
   〔 第16回 文芸思潮現代詩賞 佳作 〕