季節性ログハウス・冬

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つめたい が
ひかっている
澄み透った
炎のかけらのような
瞳の色が
増す
みえなくなる

朝はあんなに暗くて
雲が厚い蓋だった
空間をたしかめながら降りる雪の
軽いことを
疑ってしまうくらい
きっと
不測の裏をめくったのだね
午後の陽ざしは
羽織のようなあかるさで
空に晴れをかえして遊んでいる
今なら大人にも
子どもにもなれる

かごの上のあおりんごは
転がる夢をみている
そんな漂いがあるから
じきに季節の動く音がするだろう
光をみている

何をみている?
月が 落ちて星に
流れ星にも
なる時代
あおりんごを
床に置いてあげた

窓べのつららは
大事にすべき音を匿って
まだ芯にふかく

『 季節性ログハウス・冬 』
   〔 現代詩手帖 2020.3月号 佳作 * 〕