エッセイ

とっておきを揃えること

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外出制限のメリット

生活がいろいろと厳選されている。外出を制限するようになってよりそう感じる。

少し前に、外出制限の意識が変に自分を制限してちょっとしたことにも腰が重くなってきた、ということを書いた。

私は自由だ。バイタリティーの泉を探すんだ。

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私は自由だ。バイタリティーの泉を探すんだ。 逡巡する瞬間 最近、これは出かけるべき用事なのか、と反射的に日常の外出を審査していることに気づいた。 外出の用事を...

自分が許せる範囲の外出だけするようになってから、以前より外出の回数や時間が減った。自分の行動の意味とか考えだしちゃって、(行動しないままなのに)すぐにいろいろ面倒に感じやすくなった。これは自分の行動を縮こめるよろしくない傾向ではあると思う。でもその反面、出不精な私にとってポジティブな部分もあった。

例えば、本当に気に入ったものを身に着けるハードルが下がったように思う。
服とか靴とか鞄とか。

外に出ると、というか使うと、多かれ少なかれモノは消耗していく。気づかないうちに汚れることもあるし、汚れを落とす行為だってモノを消耗させる。だからなんとなくきれいな状態を保ちたくて、新品をおろすのを躊躇してしまうところがある。本当に気に入ったものは特に。

革靴  スーツ マフラー シャツ ネクタイ 腕時計

以前なら「もう少しうろうろしようかな。」と考えていたところを「用事は終わったし帰ろう。」と思うようになったので、楽しく無駄で自由な時間が減ってしまった面はある。それに関してはつまらない。でもその分、外出の時間が短くなったことで「ちょっと出かけるだけなら汚れとかシワとかそんなに心配ないし、これ着て行こう。」と、お気に入りを以前よりも少し気楽に身に着けられるようになった。

服は特に、汗をかいたり汚したりタバコの匂いがついたりしたらすぐに洗濯機でがしがしわしゃわしゃ洗いたくなるし、長時間着るなら生活しやすい形や素材がいい。と思うと、日常にお気に入りの出番はほとんどなく、どちらかといえばなにかあっても後悔の少ない、「消耗品」と思っても平気なものを日々手に取りがちだった。

外出の回数が少なく時間も短くなっている最近は、お気に入りを着ていく心的な負担や条件が軽くなってきたように感じる。「好きだから着ていく」外出が増えた。むしろ、ちょっとした外出の方が好きなものを身に着けやすい、ということに気づいた。おろしたての靴も、短い外出なら靴ズレがあまり怖くない。

この傾向が強くなっていくと、モノを買うときもお気に入りを厳選して買うことができる。ただ、クローゼットの中が、家で着る汚れる前提の服とお気に入りの服、みたいな極端な状態になっていく気もしている。不便じゃなければそれは幸せなことなのかな、きっと。

こぎれいにしなきゃ、と義務のように感じる日が続くと私は却って服装や外出に向ける気力をなくしてしまうので、少し気楽に好きな服を着やすくなったのはとてもうれしい。外に出たときに好きなものを身に着けていたら、より気分も上がる。

外出が制限された結果、外出すると決めたあとの準備が気楽になった感覚がある。少しの外出ならお気に入りを着ても着やすい服を着てもいいや、と思えると、心が軽い。結果、お気に入りを選ぶことが増える。

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好きなものだけの家

ここからは家時間の話。

家にいる時間が長くなったから、部屋のいろいろがよく目につく。家でほとんどの時間を過ごすから、以前よりも少しはっきり家に快適さや好みを求めるようになった。たぶん世間的にもそういう気運が高まっている。

自分の好きなものを置きたい。自分の過ごす場所を好きな空間にしたい。そう思って、できる範囲で少しずつお気に入りを厳選するようになった。


The home should be the treasure chest of living.

 家は生活の宝箱でなければならない。

Le Corbusier ル・コルビジェ


Have nothing in your house that you do not know to be useful, or believe to be beautiful.

 役にたたないもの、
 美しいと思わないものを、
 家に置いてはならない。

William Morris ウィリアム・モリス

名だたる巨匠たちもこう言ってくれたので。
厳選した本当に自分の好きなものを持ちやすくなったのは素敵なことだ。

とはいえ、スペースやお金が急に増えるわけじゃないのでけったいなものは買っていない。純粋に正直に欲しいものを列挙したら、

こういう ↓

『 TALIESIN 2 』|醸す灯り

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『 TALIESIN 2 』|醸す灯り部屋を光景にしてくれるあかり。それがある部屋、憧れます。...

気軽に手を出せないものばかりになってしまう。そうなると現実的ではない。破滅の未来が見える。厳選するのが重要。

こういう大物は今も変わらず憧れのままだ。欲しいものは今も昔も増える一方だけど、そのなかでも現実的な範囲で自分の好みや喜びを優先したくなっている。あくまでできる範囲で小さな一歩。それでも好きなものだけ置きたいと思うと、小物でも、選ぶものが少しだけ違ってくる。買い物をするときいくらか丁寧に選ぶようになったと思う。

楽しく機嫌よく厳選する

自分が本当に手元に置きたいものだけを区別して買おう、と思うようになった。

最近は配送サービス界隈が頑張ってくれていて利用しやすいし、レンタルやサブスクリプションのサービスも充実してきた。そのおかげで、いつでも自由に使いたいもの、確実に自分の手元に持っていたい・安心していたいものに注力できるようになった。服も靴も本も音楽も。ちょっと試しに手を出してみたいものは気軽にレンタル。レンタルの選択肢がはじめからあると買うものとレンタルするもので区別をつけられて、本当に好きなものだけ手元に残る。うれしい。

視界が好きなものや空間だと気分がいい。家やモノを好きな状態でキープするにはまた別の能力が必要だけど、目の前にお気に入りがそろっていたら前向きで身軽なやる気をそこに注げそう。

完全に好きな視界を手に入れるにはまだまだかかりそうだけど。じわじわとでいいから自分のテリトリーは好きなもので揃えたいなあ。

厳選しなくちゃいけない、と考えることをプレッシャーに感じてきたら一旦緩めるのも大事だと思っている。自分の元気と機嫌が最優先。閉塞的な生活ではあるから、つい苦しい方に流れやすいので、偏らないように気をつける。自分の喜びのために厳選していることを忘れて息苦しくなると本末転倒だからね。

今の生活は家時間が多くてその分自由な気がするけど、意外と精神のバランスを保つのが難しい生活でもあるな、と思った。本当に元気がないときは、食べたいとか欲しいとかそういう自分の欲がどうでもいいものに思えて何もできなくなっちゃうから、自分の元気や機嫌だけはなんとしても保ちたい。

気楽に積極的に好きなものを見極めたい。好きなものだけに囲まれる生活をしてみたいし、見つけた好きなことはさくっと実行したい。

そして減らない物欲とともに元気に生活するんだ。