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(過去記事をお試し投稿)
持っていないものへの物欲を書き留めています。
欲しいものを欲しいまま、憧れを憧れのまま。いつかいつかと言い続ける文章です。
(商品レビューではありません。)
FUTAGAMI のブックエンド
『 分銅 』
ただ者ではなさそう
う、美しくていらっしゃる……!(古文以外で初めて言った)
色合いかな、なんだか神々しい光沢です。派手なつくりのものではないのに目を引く、シンプルなのに地味とは思わせない、モノとしての強さを感じます。引力持ってそう。
なんか、神棚とか祭壇の両脇に置いてあっても違和感がなさそうなかんじ。
清澄な心地よい音が、この中で響いていそうなかんじ。
素材は「無垢の真鍮」。メッキじゃこの光り方はしないんだろうなあ、と思いました。
表裏のない芯からの光沢。
FUTAGAMI のサイトを見ると、こんなふうに書いてありました。
真鍮は耐腐食性が強く、加工が比較的容易で、太古から建築金物、船舶金物、家具金物など、様々な分野で使用されてきました。
http://www.futagami-imono.co.jp/about/
また素材の持つ風合いが柔らかく、光沢も優雅で、美術工芸品や仏具などの素材としても長い歴史があります。
あっ、太古からの建築金物ね!仏具ね!
この聖なる心地も納得できました。昔からそういう素材として美しさを発揮していたのか。
そして「光沢も優雅で」という語彙。それ!それが言いたかった!優雅な光沢!麗しい!やんごとない!
月みたい
この「分銅」に対する私の第一印象は、「月みたい!」だったんです。本当に引力がありそう。
パッと見たときの全体的な形と色でそう思ったんですが、アップの画像を見て感動でした。
「これほんとに月だ!」
と同時に、
「地層がむき出しの山肌とか見たとき、こういう層はさまってた気がする…。」
と思いました。そして、
「これは、月の地層なんだ……!」
と、ひとりで勝手に結論づけていました。
本当に、「月を切り出してきました」ってくらい美しい。
実際に月を切り出したら、地!砂!土!石!感しかない物質がとれるんだろうけど、そんなリアリティを凌駕するほど 月 感があると思います。生で実物見てみたい。
( ↑ こちらは『 分銅 』ではありません。)
形も好き。カーブの具合が絶妙で好き。
そして画像で見ると、明るい面と暗い面が強調されるように映ります。
この形と陰影も、月を連想させる要素な気がします。
まったくもって美術の人間じゃないのに、つい描いちゃった(粗い画像で失礼します)。
この世には、なんだか無性にスケッチしたくなる形、というものがあることを知った。
素描の練習にもどうぞ。笑
〔 描いちゃいました。〕
第一印象ってなかなか拭えないから、むしろなんでこれが月って名前じゃないのか不思議なくらい、私にはもう月にしか見えません。
月よりも月。
これを眺めながらお酒が飲めそうです。
この月面仕上げな質感、砂型鋳物ならではの風合いなんだそうです。
なんだか気に入ったので、砂型鋳物について少し検索してみました。
ざっくりとですが、つくり方はこうです。
① 木型で砂型を作る
② 砂型に真鍮を流しこんで固める
③ 砂型を壊して完成した真鍮製品を取り出す
砂型は、一度真鍮が成形されるたびに壊されます(そ、そんな…)。型を作るために型が必要。
型の段階ですでに職人の手間がかかっている…
作る人の手際・技術・丁寧さなどが表れやすい製造方法でもあるようです。
必然的に、手工業・中量生産になるらしい。
大事にしなければ…!という気になってきました。(持ってない ←)
伝統の鋳物を、この身近に置いておきたいデザインに仕立てたのは、大治将典さん。
「分銅」以外にも、見るとハッとするものばかりです。見て。ぜひ見て。
大治さんデザイン、どれも素材の良さが際立つ見た目をしている印象があります。
素材は木だったり真鍮だったり磁器だったりいろいろなんですが、パッと見たときに伝わってくる質感や表面の仕上げ具合が、まずとても美しい。
手に取りたくなる。
その素材が一番いい表情をする形や、その素材らしさが出る面の置き方(って言うのかな)を、とても大事にしたデザインだなあって思います。
月を置く
ブックエンドっていうと、L字型が一般的だと思います。私はむしろそれ以外に思い浮かびませんでした。
本棚がぴったり埋まる直前まで使えるのは、やっぱりL字型です。
一方で、読みかけの本やお気に入りの本を数冊、机や飾り棚などに立てておきたい場合には、「分銅」が使いやすそうな気がします。
見せる収納があったら使いたい。なくても使いたい。
ブックエンド自体に無垢の真鍮の詰まった重さがあるから、本を出し入れしてもズレることがなさそう。
底面にフェルトが貼ってあるのも優しい。
だれも傷つけずに不動の姿勢でその位置を守ってくれる、ドラマチックな強さと優しさ!
弁慶と呼びたくなる。
本にぴったりくっつけて置いたとき、本から生えているみたいにみえるのもツボ(伝わるかな…)。
本と「分銅」に一体感が出て、ひとつの物体に見える気がする。
本も含めてそういうオブジェ。本が直線だから、ここで「分銅」のカーブ具合が効いてくる…!
それを、家で、やりたいです。(伝わってくれ……)
本にあたる面だけつるぺかなのも好き。すりすり触りたくなるつるぺか具合!
歴史の教科書にあった昔の鏡みたい。やっぱり神具っぽい。
ぴたっと当てられる本が羨ましい。本になりたい。
私が(買う前から)ちょっと気になるのは、真鍮が経年変化するときに本に色がついちゃうことはないのかな?ってことです。
真鍮の経年変化は酸化だそうで、表面に緑青がつくこともあるみたい。
一冊の本を長年接地させておくかは不明ですが、ずっとくっつけて置いていたら跡ついちゃうのかな…?
無垢の真鍮、一生もの。
経年変化を楽しむこともできますが、私はこの 月 感が好きなので、ゲットした暁には(稀に)磨きたいと思っています。
月の満ち欠けに合わせて磨いたらなんか季節イベントっぽくて面白いかな、って一瞬頭をよぎりましたが、そんなことができるほど自分がマメな人間ではないことを思い出しました。
経年変化を楽しみつつ、ふと見たときに「これは皆既月食だな」って思ったら磨いて、新品のような月面に戻そうかなって思います。
分銅
(ブックエンド)
設計者
大治 将典
ブランド
FUTAGAMI