空に落ちる

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海を裏切った青が
空に落ちていく。視線と、
青に区別をつける 水平線は
互いを正夢として信頼していた。
架空をとおすことでしか
秘密を成せないものたち。
くじらの眼は何色の
双子を装っていたか。

鏡越しの言葉は
ちゃんと反射する。
そういえば
美容院でほんとうのことを
話したことがない。
嘘が正しく
帰る場所。
謝らず
軽くなりに

それらの本で
時間がとり戻せますか。
特に
言葉から
恋に落ちるとき
沖にも
雪は降るって忘れそうになる。
ほうわ 飽和は、
知らないことを思い出したときに
平熱への帰路になる。
手紙、
かくね。

書き割りに
日々が流れこむと
息の音すら
、瞳
誤読のうつくしいひとは
舞台役者になった

『 空に落ちる 』
    〔 ユリイカ 2022. 6月号 佳作 〕